再生支援の総合的対策に関する記事です

2024年3月11日(月)

4月、民間金融機関による実質無利子・無担保融資の返済開始の最後のピークを迎えることから、官民金融機関等による再生支援等を一層促すための、経済産業省・金融庁・財務省は「再生支援の総合的対策」を発表しました。

不良債権の分類ルール、コロナ緊急措置を終了へ 金融庁 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

再生支援の総合的対策01.pdf (fsa.go.jp)

政府系関係機関の支援の他、民間金融機関に対しては、2024事務年度の監督指針の改正も含め、4月以降以下の対応を求めるそうです。
①事業者の現状のみならず状況の変化の兆候を把握し、一歩先を見据えた対応を求める
 ・日常的・継続的な関係強化を通じた事業者の予兆管理と認識共有(プッシュ型での情報提供)
 ・メイン・非メインに関わらず金融機関自身の経営資源の状況を踏まえた対応促進
②事業者の経営改善や事業再生を先送りしないため「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」等の策定を促進
③昨年実施した重点的なヒアリングの結果を踏まえ、各地域における事業者支援態勢の構築・発展に向けた取組みを一層促進

事業者の経営改善・事業再生を先送りしないため、早期に経営再建計画等の策定支援を行うことを目的としているようですが、過去の金融監督行政の推移をみる限り、抜本的な改革は行われていなかったのが実情でしょう。
2008年のリーマンショック後の金融円滑化法による支援から、型を変えては支援を続けてきた結果、過去からの支援で生き延びてきた企業への抜本的な改善は行われていないように思われます(暫定リスケによる返済延期も含め…)。

また、日銀によるゼロ金利政策は4月以降見直される可能性が高まっていますが、金利水準が正常に戻れば、これまで「業績が著しく悪化していて、本来であれば事業継続が難しいにもかかわらず、金融機関等の金融支援により延命している」企業は金利上昇を乗り切るのは極めて難しくなる可能性もあります。
・低金利でも利払いに苦労している企業は高金利の下では利払いにますます苦労することが明らかであり、新たな資金調達がいっそう難しくなる
・高金利の時代では、より安全な資金運用方法により十分に収益を上げられるから、投資家や金融機関は不良企業へ融資を行おうという意欲が弱まる

本来整理すべきであったが延命されてきた企業を抜本的に改革すべく、何年も前から「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」を策定し支援するよう、官民で色々な対策を講じてきたはずですが、実現されていない現状を考えれば、今後も変わりないのではないでしょうか。
監督官庁は、これまでどおり金融機関に取組み実績の報告を求めるでしょうが、形ばかりの報告だけで、実のあるものにならない可能性が高いと思うのは私だけでしょうか…

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