デジタル金融による事業収益化は可能なのか…

2023年1月14日(土)

ゴールドマンサックスが部門別損益を初めて公表しましたが、デジタル金融部門では大幅な損失を計上しているとの記事です。

ゴールドマン、デジタル金融の損失開示 3年で30億ドル: 日本経済新聞 (nikkei.com)

先ごろ、全従業員のおよそ6%にあたる3200人の人員削減を行う事が判明していますが、3大事業部門の中でデジタル金融部門が足を引っ張っているイメージのようです。

日本では、従来の金融モデルでは成長が難しいのではないかとのことから、、Web3.0等における最先端のイノベーションの実現を目指すべく、金融庁も含め、政府が主体となり「デジタルと分散型金融への取り組み」を強化していますが、当該分野で先行するアメリカにおいて、デジタル金融部門での本格的な収益モデルは未だ確立されていないということでしょうか。

Web3.0そのものの定義が明確になっていない状況下、デジタル金融分野では「決済と送金」業務がメインとなっており、ここから高収益モデルを確立することは難しいのは当然のことと思われます。低コストでIT化=事業化を実現できたとしても、運用管理面=特にマネロン対策などを強化するコスト等を考えれば、総合的な収益性は低くならざるを得ないということでしょうか。
また、ファイナンス分野においても、初期段階では儲けが出ていても、今後、与信管理という面を考えればコスト増が予想されます。
これまで実現している事業モデルは、どちらかというと、利用者に対する利便性向上をうたったものが前提になっているように感じられますが、採算割れせず一定の利益を計上できるだけのビジネスプランとして確立するには、まだまだ時間がかかるようにも思います。

バックキャスティング思考からすると、どのような未来像を描けるかが重要であり、それを実現するために今後の検討ステップを未来から現在に遡って明確にすることがポイントのはずですが、「未来像」が明確でない状況で、既存の業務を簡素するために新たな技術を活用するだけでは、新たな果実を生み出すことは難しいのでしょう。

アメリカでは昨年暮れ以降、景気減速への懸念が強まってきたことから、大手金融機関は相次いで与信関係費用の増加により減益予想の決算を発表していますが、アメリカの景気が減速してくると、円高の動きが強まりやすくなり、我が国も輸出関連産業を主体に景気後退に陥る可能性も出てくることが予想されます。

コロナ後、政府は経済活動重視の政策に転換していますが、世界経済(中国を含む)の減退、一方で国内金利の上昇というマイナス要素を勘案すると、国内金融機関の各種引当コストは今後増加する可能性も高く、収益性は更に悪化する懸念があります。
「未来像」を描けていない現状で、デジタル金融に代表される新規事業により減益要因を補填するまでには、至らない状況が続くのではないでしょうかね…

 

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