知的資産経営計画の事業活動への活用方法 |
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会社を取巻く環境は日々変化します。変化に対して適切に対応できるか否かが「会社存続」のキーファクターになるのは、経営者であれば当たり前のこととして理解していると思いますが、当たり前のことを会社の役職員全てが正しく理解できるように「知らしめる」ことも重要であることを理解している経営者は意外と少ないのが実情です。 会社が存続する意義(=社会における役割)、会社を持続・成長させるための方法論(=売上を伸ばし、利益の出る会社の体質に改善するために必要な要素)を、社長自身、社員全員、更には取引上係りのある関係者全てと共有することができる「自分の会社の経営計画」を「見える化」することが重要なのです。 事業規模の大小にかかわらず、会社を経営する経営者であれば「将来における自社のあるべき姿」を明確にし、それを実現するために「何をしなければいけないのか具体的な方法」を時々の情勢を見ながら常に考えることが重要であり、「あるべき姿」と「行動すべき方法」を明らかにするための考え方が「知的資産経営計画」に他ありません。 会社が持っている経営資源の関係をより分かり易くまとめると、会社の基礎的な財産、働く従業員の持っている能力、更に、会社経営に係るステークホルダー(競合相手、顧客、取引先、金融機関等)に分かれるかと思いますが、働く従業員とステークホルダーに対しては「会社の実情を正しく知らせる」必要があります。特に、会社としての「今後のあるべき姿」を具体的に示すことは、大変重要なポイントです。 以下、作成された「知的資産経営計画書」をどのような観点から活用すべきか、会社経営者が考えるべき要素と関係するそれぞれの相手別に纏めてみたいと思います。 【1…人を育てる】
会社経営の基本は、働く従業員そのものであり、一人一人が持っている技術や営業ノウハウ等は事業を継続する上では無くてはならないものです。しかし、その力を最大限活用できなければ効果は生まれません。つまり、働く方々の「やる気」=モチベーションを高めることが重要なのです。その為には、今後、会社はどのようになるのか、その結果、自分たちの仕事はどのようになるのか、報酬はどうなるのか、方向性が明確でなければ「やる気」を引き出すことは難しいのです。 また、会社の経営を担う幹部や幹部候補については、更に、一歩踏み込んで会社の方向性を明確に示し、且つ、実現できるように活躍してもらう必要があります。そのためにも「現状の実態〜今後の予想〜改革による成長」というシナリオを正しく理解してもらうことが重要となります。 更に、新たな人材を確保=雇用する際にも、会社の実情をより具体的に示すことで、有能な人材を確保することも可能になるはずです。 「知的資産経営報告書」を社内での意識を共有させる指針として活用すると同時に幹部候補の育成、新規人材確保に活用すること=内なる経営資源を充実させるために活用することがポイントとなるのです。 【2…資金調達】
事業を継続する上では、様々な要因から「資金」が必要になるケースが発生します。金融機関から借り入れするケースもあるでしょうし、取引先への支払いや回収の時期を早めたり遅らせたりして調整するケースもあります。場合によっては、分割して費用を払う方法もありますが、全てのケースで、関係者となる相手方に信頼されていなければ、思うような資金調達はできません。 では、信頼されるためにはどうしたらよいのか。それは、会社経営の実情を正しく伝えることで「事業の継続性と成長性」を理解してもらうことに他ありません。つまり、「知的資産経営報告書」を用いて、社外の関係者に対して実情を知らしめ、理解してもらえるように活用することが重要なのです。 【3…取引開拓とアライアンス】
事業を拡大、成長させるためには、既存の取引先だけではなく、新たな取引先を開拓する必要があります。事業の基となる資材を仕入れる、新たなお客様を開拓する、事業の基本である収入と費用の源泉となる取引先との関係を維持すると同時に、新規開拓することが重要です。場合によっては、関連する事業を行う会社と業務提携等アライアンスにより事業拡大を図ることも考えられます。 一方で、取引する相手方にとっては、新たに取引する会社の実情はどうなのか、取引しても安全なのか、支払いは確実にしてくれるのか、商品やサービスを確実に提供してくれるのか、その品質に問題はないのか等、様々な観点から確認する必要があります。 取引を新たに開始する都度、以上のような会社の実情を説明するのも手間がかかりますが、多くの営業担当者が同一の内容で正しく相手方に会社の実情を説明できるように指導を徹底する必要もあります。自社を正しく伝えるための「手間と時間」を削減すると同時に正確に伝える手段として「知的資産経営報告書」を営業活動支援ツールとして活用することが考えられます。 以上のとおり、「知的資産経営報告書」は、会社経営者と関係する人や会社等、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な情報源として活用することで、経営の質をより高めることが可能となるのです。 |
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