販売方針=売上計画のまとめ方 |
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経営者がまず考えるテーマは「売上=販売計画」です。今後1年間「取扱っている商品やサービスをお客様に利用してもらい対価を払ってもらう」=売上をどれだけ計上しなければいけないのか、その為にはどのような「販売計画」を立てたらよいのか考えなければなりません。 会社の状態が良い悪いに関係なく「売上」がどのような状態になっているのか、今後どのようになるのか、「過去・現在・将来」にわたって正しく把握できる経営者となるためには、「売上実態」を正しく捉え、具体的な計画=方針を立案する上で必要となるポイントを理解できることが重要となります。 常に「誰が(=Who)、何を(=What)、何時(=When)、何処で(=Where)、どのような目的で(=Why)、どのような方法で(=How)、幾らで(=How much)」という「5W2H」の観点から物事を捉えることは既に説明していますが、今後の、販売計画を立てる上でもこの考え方は重要となります。つまり、一つの商品やサービスをどのお客様に利用してもらいたいのか、次のような観点から順に考えることがポイントです。 1)What=商品やサービスの中身は? 取扱商品別・サービス別は? 既存品か新商品か? 2)Who=どのようなお客様に販売するのか? 上得意のお客様、新規のお客様? 3)How much=正規の価格で? 割引価格で? 値引きで? 4)Where=何処の地域で? 何処の事業所、店舗で? 5)How=直接来店客へ? 代理店等を通して? 電話やFAXで? インターネットで? 6)When=どのタイミングで? どの位の頻度で? 何時まで? 7)Why=既存商品の補充のため? 新製品やサービスを拡販するため? 1)【商品やサービス別に区分する=What】 現在、取扱っている商品やサービスの中で会社の経営に一番貢献している商品やサービスは何かを正しく把握しておくことが、まず重要となります。 商品やサービスの実態を捉えることができる最もシンプルな見方は、既に説明しましたが、販売計画を立てる上で重要となるのは、今後も「貢献する主要な商品サービス」となり得るのか否かを見極めることです。売上高だけではなく利益率の考え方も考慮する必要はありますが、売上=販売計画を策定する上では、過去5年間程度の売上に占める割合の推移を考慮することで、成長している商品サービスなのか、成熟期にある商品サービスなのか、旬を過ぎている商品サービスなのか見極めることが可能となります。 成長している商品サービスに関しては更に拡販する計画を立てることも可能です。安定的に売上を維持している成熟した商品サービスについては現状維持を前提とした計画を立てることになります。一方で、旬を過ぎた商品サービスに関しては、代替となる商品サービスは有るのか否か検討しながら撤退も加味した計画を考えなければなりません。 2)【お客様を分類する=Who】 また、扱うべき商品サービスの選定を考えると同時に、商品サービスを利用してくれるお客様は誰なのか、更に、そのお客さまの取引状態はどうなっているのかを検証することも重要となります。会社にとって最も重要なのは「取引してくれるお客様」をどれだけ確保できるかですが、そのお客様が自社にとってどのようなお客様なのか正しく理解しておくことがポイントです。 売上げや利益に貢献できるお客さまなのか否か等、会社としてお客様を見極める一定の基準=「顧客セグメント基準」を定め、当該基準に基づき売上げの実態がどのようになっているか検証することについては既に説明していますが、「優良なお客様は誰なのか」「そのお客様はどのような商品サービスを利用しているのか」を検証することで、販売する対象顧客と商品サービスの組み合わせを考えることが重要となるのです。 3)【利用価格別に区分する=How much】 販売計画を立てる場合、実際にどれだけの売上高になるのか考える際には「販売単価」を検討しなければなりません。現在設定している価格が、競合他社や市場で扱われている価格と比べ競争力があるのか否か考えることが最重要検討課題となりますが、当該要因を加味した結果、妥当と判断できる価格体系を「正規価格」としてベースにすることになります。 通常、販売計画は「(1)正規価格」による計画としますが、上得意のお客様向けの「(2)割引価格」を設定する場合は、過去の取引経過や今後見込まれる規模感等を参照に事前に割引率を決定しておくことが必要です。また、旬を過ぎた商品サービスですが、在庫等の状況を勘案し早期に販売することを目的とした「(3)値引き」による販売も考える必要もありますが、原価割れにならない状態で販売できるように価格設定することも重要です。 4)【地域や事業所別に区分する=Where】 会社経営者としては、営業活動地域をどのように考えるかも重要な検討テーマとなります。前述した「商品サービスの事態検証」、「取引顧客も加味した実態検証」を行う場合、全社合計の数字を把握するとともに、同様の基準で「地域別や営業所別の営業実態」を把握する必要があります。商品サービスでも地域によって売れ筋が違うケースもありますので、図表−1と図表−2のフォームをそのまま活用し、集計単位を全社から地域、営業所別に集約し確認することで、地域や営業所の状態を考慮した「より精緻な計画」を立てることが可能となります。 また、地域や営業所の状況に応じた計画を立てることで、現場で働く従業員のモチベーションを高めることも可能となります。地域や営業所によっては全く売れていない商品やサービスについて、販売目標を与えられても、効果が出るまでには相応の期間と努力を要するものです。中長期的に、新たな顧客層を開拓するという趣旨で計画を立てる場合を除き、来年度、半期という短期の計画を立てる場合は、現場の実態に合致した計画立案が重要となります。 5)【利用チャネル別に区分する=How】 商品サービスについては、営業現場で販売するケースが大半というケースが一般的ですが、営業現場以外の様々なルートで販売するケースの場合は、当該商品やサービスがどのルートで利用されているか確認することも、より綿密な販売計画を立案する上では重要です。 一般的には、営業現場の店舗や営業所、更には営業マン=担当者別に年度計画を立てることになりますが、店舗や営業所・担当者だけではカバーしきれない部分を他の営業チャネルで補完することも考えなければなりません。代理店等提携先を経由して販売するケース、電話やFAX、インターネット等の通信媒体を経由して販売するケース等、購入される窓口=チャネル別に実績を集約し、全体の販売計画について、補完的な販売チャネルによる販売計画も加味して見直すことも必要です。 6)【利用時期と頻度別に区分する=When】 年間の販売計画を立案する際に、販売効率も考慮する必要があります。特に、商品やサービスが販売される時期の推移によって、仕入計画や生産計画を立てることで在庫コストを最小限に抑えることも考える必要があります。つまり、商品やサービスを販売する時期やタイミングを最適な時期として把握することがポイントとなるのです。個々の商品サービスが毎月どのように売れているのか、全体の動向から地域や営業所の動向まで確認することが必要になります。品目によっては毎月一定の金額が売れるケースもありますし、月によって大きく変化するケースもあります。1年間の結果だけを見るのではなく、3〜5年間の月々の売れ行きの変化を捉えることで傾向値として販売状態を把握することも考える必要があります。 7)【利用目的別に区分する=Why】 商品サービス別、お客様別の計画を立てることが基本ではありますが、販売計画を立てる際には、これまでの取引の反復による販売なのか、相手先の事業拡大による取扱増加による販売なのか、新たな取扱い開始による販売なのか、お客様情報と商品サービス情報を組みわせることで「新規に利用されるケース」なのか「リピートして使用するケース」なのか計画を立てる段階で把握しておくことも必要です。 期初に1年間の販売計画を立てる上で必要なポイントを「5W2H」から説明しましたが、重要なことは「商品サービス」を「誰に」「どのように」販売するのかを正しく把握することが重要なのです。ただし、単一の要素のみで情報を見ると傾向を誤る可能性もありますので、複数の要素を組み合わせながら検討する習慣をつけることが経営者資質を高めるためのキーファクターです。 商品サービス別の販売計画を前提に、顧客別の販売計画を立てる際には、地域や営業所、更には営業担当者別等、売上を計上するまでの「過程」における要因別に計画の実現可能性を見極めることも必要となるのです。 また、販売計画を立てる上では、単に「売上高」を考えるのではなく、販売した結果として「利益」を計上できるか否かも考慮しなければなりません。どれだけのコストをかけ、最終的に利益を計上できるのか否かを見極めながら「販売計画=販売数量と販売単価」という販売方針を最終的に決定する必要があります。 |
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